「失ってから大切なことに気付く。」ということがよくありますが、
歯も同じです。
天然の歯の大切さは失ってから気付きます。歯周病が進行して骨まで溶け、歯がグラグラになったり、虫歯を放置していたりして「抜歯」になってしまった方をたくさんみてきました。そうして物がうまく噛めなくなったり、長い間通院することとなったり、苦労されている方もいらっしゃいます。
「痛みがないし大丈夫!」と思っていても、詰め物や被せものが劣化し隙間ができて、そこから二次虫歯になっていたり、自覚症状はなくても虫歯が進行していたりします。
もう少しはやく来院いただいていれば「神経をとらずにすんだかもしれない。。」「入れ歯にならずに済んだかもしれない。。」と思うことも多いので、今回は「歯の大切さ」や、天然の歯を長い間守るためには「セルフケア」と「定期健診」が大切ということをお話します。
~歯の役割~
歯の役割は、噛むだけじゃありません!!
・食べ物を噛む
好きな食べ物が食べられなくなるだけではなく、しっかり噛み切れずに飲み込むようになるので、食道や胃など消化器官に大きな負担がかかるようになります。
・発音を助ける
歯が無くなると発音がしずらくなります。話しにくいだけでなく、カラオケも充分に歌えませんよね。
・顔の形を整えて美しい表情をつくる
ほほがこけたり、しわができたりしてしまいます。どうしても口元が気になると、思いっきり笑いずらいですよね。
・歯ごたえを楽しみ味覚を感じる
味覚は舌だけではありません。歯ごたえや歯ざわりなども美味しさを感じるひとつです。
・力を出す、姿勢やバランスを保つ
歯を失ってそのまま放置しておくと噛み合わせが狂います。噛み合わせが狂うと、身体全体の姿勢やバランスも崩れ、頭痛や肩こり・腰痛などの症状も出てきたり、力を出したりすることも難しくなります。
~歯は元には戻りません~
歯は自然治癒ができないので、元通りの天然の歯ではなくなってしまいます。治療は、虫歯で削った部分を補うというということしかできません。
・神経の治療をすると…歯に栄養をいきわたらせている血管もとってしまうこととなるので、天然の歯よりもろくなり寿命が縮まります。また、被せものをした後も一生使えるわけではありません。被せものが欠けたり金属が溶けて隙間ができていたり、二次虫歯になって再治療が必要なことがありますが、神経をとっているため痛みを感じにくく自覚症状なく虫歯が進行してしまうことがあります。
・抜歯になったときは、その両端の歯を削って「ブリッジ」という連結の被せものの治療を行うことがありますが、両隣りの歯が健康だった場合、削ることで寿命を縮めることになります。「入れ歯」にすると、隣りの歯に金属のバネをかけるので負担がかかります。
・歯周病の治療は、溜まった歯石はとりますが、もうすでに溶けてしまった骨は元には戻りません。
もちろん、虫歯や歯周病になった歯は治療しないといけませんが、まだ健康な天然の歯は虫歯や歯周病にならないように大切にしたいですね。
~できるだけ歯を長く残すには~
虫歯や歯周病の予防が本当に大切です!そして、一度治療した箇所は「治したから終わり」ということではなく、また二次虫歯にならないようにすることが大事です。
そのためには「毎日のセルフケア」と「定期的に歯科医院でのお口のメンテナンス」が欠かせません。「歯ぎしりや食いしばりのダメージを防ぐ」ことも大切です。
★セルフケア
大人になってから、歯みがき指導を受けたことがありますか?しっかり磨いているつもりでも、歯ブラシが当たりづらい場所や奥歯、歯の裏など磨き残しの箇所があると虫歯や歯周病になってしまいます。クリーニングの際に、お口の状態を診て正しいブラッシング方法や磨き残しがあるところなど歯ブラシ指導もしています。
またフロスや歯間ブラシは使っていますか?歯ブラシだけでは汚れは落としきれません。歯垢の溜まりやすい歯と歯の間。歯ブラシと併用してフロスや歯間ブラシも使うようにしましょう。
↓フロスを使う必要性とコツはこちらの記事をご覧ください。
★定期健診とクリーニング
定期的に虫歯や歯周病のチェックをすれば、初期段階で発見できるので、治療回数も少なくすみます。なによりも、痛みが出る前に見つけられると痛い思いをしなくて済みますよね。また、健診ではクリーニングも行っています。セルフケアを頑張っていても歯ブラシでは落としきれない汚れがあります。だいたい4~6か月の間隔でのクリーニングをおすすめします。
★食いしばりや歯ぎしりのダメージを防ぐ
寝ている時や集中している時など食いしばりや歯ぎしりは、歯や顎に負担をかけることとなります。歯周病の進行の悪化や歯の破折(根っこが割れてしまうと抜歯となるケースがほとんどです)につながります。日中の食いしばりはしないよう意識して気を付け、夜寝ている時の無意識の歯ぎしりはマウスピースを使って保護するようにしましょう。歯ぎしりや食いしばり用のマウスピースは保険でも作成できます。最近では通販でも見かけますが、自分に合ったマウスピースを付けないと顎に負担がかかったり噛み合わせが変わったりとよくありません。歯科医院で歯型をとってご自身に合ったものをお使い下さい。