下の絵のように、抜歯したり歯が抜け落ちたりしてそのまま放っている方はいらっしゃいませんか?
「一本無いだけで支障がないし」
「奥側だから目立たないし」と
放置していると他の歯まで悪くなって治療費用や期間が増えたり、すぐに治療していればできるはずだった治療が難しくなったりと様々な影響があります。
ですので放置せずにお早目に治療して下さい!!
今回は、中間部分の歯を喪失したままにするとどのような影響があるのかと、治療方法についてお話します。
~喪失した歯を放置した時に起こりうること~
①対合している歯が挺出してくる
通常、上の歯は下の歯と。下の歯は上の歯と接触し合い、噛み合わせが安定して本来の歯の位置を保っています。歯が失くなって噛み合うものがなくなると、歯は上の歯なら下へ、下の歯なら上へだんだんと伸びてきます。
②横に倒れてくる
失ったままの状態で時間が経過すると、両隣の歯が失った歯のスペースを埋めるようにして徐々に傾いてきます。
③健康だった他の歯も悪くなる
建物や家をイメージして下さい。支えている柱が一本でもなくなってしまうと、他の柱に負担がかかってもろくなり、いずれ建物自体が倒れてしまいます。歯も同じで、何か支えになる補綴物を入れないまま放置していると、他の歯への負担が増加し健康だった歯も悪くなってしまいます。
④歯茎の中の骨がやせ細っていく
抜けたまま反対の歯と噛み合う補綴物を入れずに放置すると、歯茎の中にある歯を支える骨が使われないため徐々にやせ細っていきます。
⑤治療が困難に!!
①~④などの結果、いざ治療を始めようと思っても歯科治療が困難になります。放置することで治療箇所が増え、結果的に治療期間や費用が多くかかります。
・ブリッジ:ブリッジにするには、土台となる両隣の歯は平行に削らなければなりません。隣りの歯が横に倒れ込むと、神経治療(倒れたことでまっすぐ削ると神経まで達してしまうため)や、歯を起こす矯正治療が必要になる可能性があります。
・入れ歯:隣の歯が倒れたり反対側の歯が出てくることで、入れ歯を入れる隙間が無く、出て来てしまっている歯の一部を削り落として隙間を無理やり作らなければならなくなったり、神経をとる治療が必要となったりします。
・インプラント:骨がやせてしまうと、まずインプラントを埋めるための骨をつくる治療から入らなけらばならなくなるため、治療期間が長くなる可能性があります。
⑥他にも様々な影響があります、、、
・発音がしにくくなる
・歯茎の位置が下がりほほも痩せて老け顔になる
・かみ合わせが悪くなりお顔がゆがむ
~歯を喪失した時の治療方法~
治療方法は大きく分けると3つです。放置し続けるとこれらの治療が難しくなるので、できるだけ早目に治療を行いましょう。
①ブリッジ
無くなった歯の隣りの歯を削って連結の被せものを装着します。接着剤で固定するので違和感は少ないです。
ただし、隣の健康な歯を削る必要があることや両隣りの歯にかなり負担をかけることとなります。周囲の歯が割れるリスクが高まったり歯の寿命が縮みます。
ブリッジには、保険適用の金属のブリッジと保険外の材料を用いたブリッジがあります。保険の金属のものは、だんだんと金属が溶けたり土台と被せものの間に隙間ができて二次虫歯になりやすく、穴が開いていたり二次虫歯になり炎症があると、被せもののやり替えが必要になります。保険外の素材はいくつか種類があり、保険の被せものよりは虫歯になりにくく、丈夫です。
・ゴールド
ゴールドを使用しています。他の素材と比べて一番適合制度が高く、だんだんと自分の歯になじんできて、虫歯にもなりにくい素材です。金色でちょっとびっくりしてしまうかもしれませんが、目立ちにくい奥歯などにはとてもオススメです。
・ジルコニア
オールセラミックの被せものです。人工のダイヤモンドで出来ており、強度に優れ、審美的にも非常に優れています。天然の歯は一色ではなく、グラデーションになっています。ジルコニアの表面はグラデーションの色を付けて見た感じが天然の歯に近いように作ることもできます。また、金属を使用していないため、金属アレルギーの心配がありません。
・レーザー
金属にセラミックを貼り付けた被せものです。内側が金属なので、オールセラミックのような透き通った感じはありませんが、自然な歯の色に近く審美性に優れています。金属を使用しているため金属アレルギーの可能性がありますが、保険の金属とは別のアレルギーの出にくい種類の金属を使用しています。
②部分入れ歯
抜けた歯の両隣や周りの歯などに金属のバネをかけ、取り外しできます。歯の位置によっては、金属のバネが見えてしまいます。また、装着した時や噛んだ時に違和感はあります。
良い点は、ブリッジのように健康な歯を削る必要がなく、周りの歯への負担が少ないことです。
※バネを無くしたり、金属でない素材で作る目立ちにくい入れ歯もあります。(保険適用外)
→【ノンクラスプデンチャー】本来金属で作られるバネの部分を歯ぐきと同じ色の樹脂で作られており、目立ちにくく、軽く弾力感があるため装着時の違和感が少ないことが特徴です。金属を使わないので金属アレルギーの心配もありません。
→【マグネットデンチャー】被せ物は難しいが歯の根がしっかりしているものに磁石を装着し入れ歯を磁石の力で吸着させるものです。そのため、外れにくくなるという特徴があります。
見た目は自然で、残った歯の根元を利用できるので装着時の違和感が少ないです。
③インプラント
インプラントとは、歯が抜け落ちたところの歯槽骨にチタン製の歯根を埋め込み土台を立て、人工の歯を装着する治療法です。チタンは、アレルギーも少なく、かみ合わせに耐えられる強度があります。
しっかりと固定することができ、治療後は違和感がないため、天然の歯と変わらないかみ合わせを実現できます。また、残っている他の歯を削ったり、装置をつけたりすることもありません。他の歯に負担をかけずに治療ができます。
デメリットとしては、保険適用外で費用がかかること。治療期間がかかること。
また、治療を受けるには、全身の健康状態が良好であることや、骨がしっかりある必要があります。(骨がないとインプラントがしっかりと固定できないため)骨が足りない場合は、骨移植手術を受ける必要があります。
そして、その後の定期的にメンテナンスを受けることも必要です。インプラントを埋めて終わりではなく、毎日のケアが不十分だったり定期的に歯科医院でのクリーニングやチェックを行わないと、汚れが溜まって「インプラント歯周炎」になり、インプラントを摘出する必要があったりインプラントが突然抜け落ちたりしてしまうことがあります。
~最後に~
もし中間部分の歯の喪失でそのままにしている方がいらしたらご相談下さい。
どのような治療で進めていくのか一緒に考えましょう。