「歯医者は何回も通わせる」そう思っている方。回数や期間がかかる理由と回数をなるべくかけないためには?

「歯医者は何回も通わせる」そう思っている方。回数や期間がかかる理由と回数をなるべくかけないためには?

コラム

「歯医者は何回も通わせる」そう思っている方。回数や期間がかかる理由と回数をなるべくかけないためには?

2020.09.12

歯科に携わるようになって、友人からよく聞かれる質問です(._.)

「なんで歯医者は何回も通わせるの?」

「一気にたくさん治療してくれれば良いのに」

みなさんもそう思ったことがあるのではないでしょうか。

実は回数や期間がかかるのには、様々な理由があります。

なるべく回数や期間をかけないにするにはどうしたらよいかもお話します。

先が見えない治療は不安だと思うので、治療の計画はなるべくしっかりと説明し、納得いただいてから治療するようにしていますが、途中で少しでも不安やご不明点等ございましたらいつでもご質問下さい。(^^)/

~噛み合わせを考えて治療を進めている~

噛み合わせは、歯を数ミリ削るだけでも大きく変わります。

薄い紙きれ一枚噛んでも感覚がわかるほど、とてもデリケードです。また、多くの歯を一度に削ると噛み合わせの基準点がわからなくなってしまいます。

離れている虫歯や削る範囲が少なく、噛み合わせに影響が少ない場合は、1度に数本治療したりもしますが、上下で噛みあったり、虫歯を大きく削ったりして、噛み合わせに影響がありそうな場合は分けて治療します。

~詰め物や被せものなどは作成期間がかかる~

歯の部分的な詰め物や、被せもの、入れ歯などは、技工所に作成をお願いしています。型をとって技工所へ送り、届くまでは1週間~10日ほど期間がかかります。

~神経治療は期間や回数がかかる~

虫歯の大きさが大きく神経まで到達すると、神経を取る根管治療を行います。

根管内部の汚れをきちんと除去しなければ痛みが再発してしまうので、感染部分を取り除いて消毒をするという作業を数回くり返す必要があり、複数回の通院が必要となってきます。通常であれば3回程度で終わりますが、根の状態や痛みの程度によって長引く場合があります。

その後も、根管に土台をたてる→土台の形を整えて被せものの歯型をとる→被せものをセット、と続きます。神経治療は期間や回数がかかる治療です。

~被せものや入れ歯を作りたいのに歯周病の治療!?~

緊急性があれば別ですが、基本的には被せものや入れ歯の作成は、歯周病の治療が一通り終わった後に行います。なぜなら、しっかりした土地に家を建てないと家が傾いたりするのと同じで、土台となる歯ぐきがしっかりしていない状態では、被せものや入れ歯を作っても長持ちしないという理由からです。もちろん、通院の負担をできるだけ少なくしたいと考えています。できるだけ、他の虫歯治療と歯周病治療を一緒に進めていけるように予約をお取りしています。

~歯周病の治療は期間や回数がかかる~

歯ぐきの中に溜まっている歯石は、ガチガチに硬くなっているので、丁寧に1本の歯ごとに除去していくのは時間がかかります。また、歯周病の治療の流れや1回でできる治療内容や部位は、保険診療のルールで決められています。歯周病が重度だとその分回数や期間がかかります。痛みがないからと途中で来なくなってしまう方も多いですが、歯周病は進行すると、骨までとけて歯が抜け落ちてしまうとても怖い病気です。途中でやめずにしっかりと治療するようにしましょう。

・歯周病の治療の流れ

①基本の検査(1つの歯につき、1か所ずつ歯周ポケットの深さを測ります)

②精密な検査(1つの歯につき歯の裏側・内側など6か所ずつ歯周ポケットの深さを測り、歯周病かどうかを診断します。通常の歯周ポケットの深さは2~3mmですが、4~6mmは中程度。7mm以上は、重度の歯周病です。)

③歯石除去(歯ぐきの表面についているプラークや歯石は、超音波の器具を使って取り除きます。歯ぐきの奥深くにこびりついている縁下歯石は、ガチガチに固まっているので除去しづらく、数本ずつ丁寧に除去していきます。)期間や回数は歯周病の進行具合や歯石の量によって変わりますが、だいたい4~6回ほどです。

中等度歯周病

④再評価(治療後、歯肉の炎症が改善されたのかを検査します。それでも状態が悪い場合は、歯周外科治療・再生治療→再評価と続きます。)

~患者さんの負担を少なくするため~

治療中は、基本的にはずっとお口を開けている状態が続きます。あまりにも長時間の治療はお身体に負担がかかってしまいます。また、一度に多くの歯を削ってしまうと、治療を終えるまでの期間、食事がしづらくなるという弊害も生まれます。

~治療回数や期間をできるだけ減らすためには~

・定期健診に通うことが大切

まだ「予防やクリーニングのために定期的に歯科へ通う」という方は少なく、初めていらっしゃる患者さんのほとんどは痛みや腫れなど何か症状が出てから来院することが多いのが現状です。治療しなければならない箇所がいくつもあったり、虫歯や歯周病が進行してしまっていたりすると、その分治療回数はかかります。定期健診に通うことで、まだ痛みのない初期段階の虫歯を見つけられます。小さな虫歯の治療の場合は何度も通わずに済むことが多いです。また、歯ブラシでは落とせないような汚れを歯科専用器具でクリーニングをすることで虫歯や歯周病予防にも繋がります。

・しみる、痛み、違和感を放置しない

小さな虫歯であれば、虫歯の箇所を削ってプラスチック樹脂で埋める。(治療回数1回)もしくは、型取りして、一部分の詰め物を詰める。(治療回数2回)で終わります。ですが、虫歯の箇所がたくさんあったり神経治療が必要になると、期間や回数も多くかかります。しみる・痛み・違和感あれば、放置せずにすぐに診てもらうようにしましょう。

・痛みの原因の箇所をしっかりと特定

当院では、「マイクロスコープ」や、「歯科用CT(3Dレントゲン)」を設置しています。

CTを使用することで、レントゲンよりもより多くの情報を確認することができ、より精度の高い診査、診断を行うことができます。マイクロスコープは、視野を20倍に拡大できる歯科用の顕微鏡です。肉眼では見えない根管や、汚れを正確に把握することが可能です。

痛みや腫れの原因をしっかりと特定することで、できるだけ少ない回数で治療を進めることができます。

・治療中断をしない、中断している方はまたいらしてください!

痛みがなくなっても、一度削った歯は自然治癒で治ることはありません。

そのまま放置すると、さらに治療期間や費用がかかってしまいます。

途中でしばらく期間が空くと「行きづらい」かと思いますが、大丈夫です。痛みが出ていないか、悪くなっていないか心配しています。遠慮せずにいらして下さい!!