虫歯でないのにも関わらず、「冷たい物を食べた時」や「甘いものを食べた時」、「歯ブラシの毛先が当たった時」などに起こる一時的に痛みやしみたりする症状を「知覚過敏」と言います。
~知覚過敏の原因~
知覚過敏は、歯ブラシや冷たいものが触れたりなどの外部からの刺激が、内側にある神経まで伝達し、痛みを感じる状態です。原因としては次のような場合があります。
●歯茎が下がることによるもの
歯周病が進んだり、歯ブラシの圧が強すぎたり、加齢現象などにより歯茎が下がると、歯の根の部分が露出し、外部からの刺激に過敏に反応してしまいます。
●歯ぎしりによるもの
歯ぎしりや食いしばりが強いと、歯の根元部分に強い力がかかり続けてしまうことによって、歯のエナメル質が傷ついたり亀裂が入ったりするため、内部に刺激が伝わりやすくなりしみやすくなります。
●虫歯を治療した後
特に虫歯が深かった場合、虫歯除去時の刺激が神経に伝わり、治療後しばらく温度による刺激を感じやすくなることがあります。治療の刺激による痛みの場合は、ほとんどの場合日にちがたつにつれて軽快していきます。
~知覚過敏の対処法~
しみている部分を清潔に保つ
痛いからといって、しみる部分を歯みがきを避けていると、汚れが溜まりさらに歯茎が炎症を起こして歯ぐきの痛みに繋がります。清潔にしておくと、唾液中のカルシウムが歯に取り込まれ、刺激が伝わりにくくなります。
フッ素のうがいをする
フッ素が歯に取り込まれると、歯が硬くなり刺激が伝わりにくくなります。歯みがきした後などフッ素入りの洗口液を使うと効果的です。
知覚過敏用の歯磨き粉を使用する
知覚過敏用の歯磨き剤を使用するようにしましょう。知覚過敏のしみる症状を抑えたり、傷ついた象牙質の溝を塞ぎ、温度による刺激をやわらげたりする成分が入っています。歯ブラシの圧が強いと歯の表面を傷つけてしまうので、歯ブラシの力を抜いて、軽く歯磨き剤をすり込むようにして使うのがコツです。強くゆすぐと成分が流れてしまうので、やさしく2・3回ゆすぐ程度の方が効果があります。
歯科医院で染み止めのお薬を塗る
象牙質など露出している箇所やしみる症状がある箇所に、お薬でコーティングして、刺激が伝わりにくくします。一度の塗布で症状が改善されない場合や、コーティングが剥がれてまたしみるようになった場合は、再度塗り直します。
マウスピースを使用する
歯ぎしりや噛み締めが原因で知覚過敏が起こっている場合は、日中は歯ぎしりをしないよう注意を払い、夜寝る時は、「マウスピース」を使用して歯への負担を軽減します。歯ぎしりによるマウスピースは歯科医院で保険で作ることができます。
神経を抜く(抜髄)
上記の方法でも症状がおさまらず、日常生活で支障を起こすほど痛む場合は、神経をとる処置が必要になります。しみたり痛みを感じる神経をとることで、痛みやしみたりする感覚を取ります。これは痛みが強い場合の最終手段として行います。神経をとるとその周りにある、歯に栄養分を送る血液の管も一緒にとることになり、天然の歯と比べるともろく、歯の寿命を縮めることになるからです。
~最後に~
「虫歯ではなく知覚過敏だから大丈夫だろう…」と放っておくと、症状がひどくなったり、しみる原因が知覚過敏によるものではなく、虫歯や歯周病が原因の可能性もあるので、ご自身で判断せずに、必ず歯科医師による診断を受けることをおすすめします。