肉眼の20倍に拡大「マイクロスコープ」を使用した根管治療(マイクロエンド)

肉眼の20倍に拡大「マイクロスコープ」を使用した根管治療(マイクロエンド)

コラム

肉眼の20倍に拡大「マイクロスコープ」を使用した根管治療(マイクロエンド)

2020.05.14
マイクロスコープを利用した精密根管治療
  • マイクロスコープって何?

 簡単に言うと脳外科などの手術用顕微鏡を歯科用に改良したものです。肉眼の20倍に視野を拡大することができます。さまざまな治療で使われますが、「根管治療」で多く使用されます。拡大することで、精密な治療が可能となります。

 ですが、日本でのマイクロスコープの導入率はまだまだ低く、歯科医院で設置しているところは、10パーセント程度といわれています。

 

  • 一般的な根管治療

 歯の根っこには、神経や歯に栄養を送る血液などが通っています。虫歯が大きくなり神経まで達していたり、細菌に感染したりしていた場合、「根管治療」が必要となります。(神経の治療、根っこの治療とも呼ばれます。)

↓根管治療については、こちらでも説明しております。ご覧ください。

https://fernas-dc.com/medical/medical07.html

 従来の一般的な根管治療は、レントゲンの根管を確認しながら、肉眼や拡大鏡を使って、指先の感覚で治療を行います。歯の根は細くて暗く、神経の管が複雑になっていますが、手探りで治療を進めるため、どうしても汚れ等の取り残しのリスクや、歯を削りすぎてしまうリスクが高くなります。レントゲンを参考に治療を進めていきますが、平面的なレントゲン写真のため、3本だろうと思われていた根管が、実は後から4本・5本と見つかる場合もあります。もし根管がみえにくく、見落としていた場合、感染してしまった根管はそのまま放置されてしまい、しだいに感染部分が再び炎症を起こし、根管が痛みます。

 また、手探りでの治療のため、本来削ってはいけないところを削り、根っこに穴を開けてしまう(パーフォレーション)ことがあります。穴が開いてしまうと、歯周組織の感染が起こりやすくなり、適切な処置を行わないと非常に予後が悪くなります。(穴を、「MTAセメント」と呼ばれる親和性の高いセメントで塞ぐ治療も行っております。ご相談下さい。)

  • マイクロエンドを使用した根管治療

 「マイクロエンド」は、マイクロスコープを使って行う「根管治療」です。

根管治療
↑マイクロスコープで見た画像

~メリット~

①見つけられなかった根管を探し出すことができる。

 通常根管は2~3本に枝分かれしそれぞれお掃除しますが、先ほど説明したように、まれに4、5本に分かれている場合があります。マイクロスコープで確認することで、平面のレントゲンでは見つけられなかった根っこを探しだすことができます。

(当院はCTがありますので、根っこの形が複雑な場合などは、立体的なレントゲンを撮り確認できます。)

②汚れの取り残しのリスクを軽減できる

 マイクロスコープで拡大し、実際に汚れを確認しながらピンポイントに治療を行えるので、汚れの取り残しのリスクがとても少なくなります。

③歯をけずる量を最小限に抑えることができる

 歯の削る量が少ないほど、その後被せものにした際の歯の寿命が長くなります。

④歯の寿命を引き延ばすことができる

 「汚れの取り残しのリスクが減る」、「削る量を最小限にすることができる」ことで、歯の寿命も長くなり、再治療のリスクも減ります。

⑤抜歯と判断された歯も、保存できる可能性があるかどうかがわかる

 肉眼とレントゲンでは抜歯と言われた歯も、マイクロスコープで確認すると残せるといった場合があります。

⑥ラバータムの使用

ラバーダム(歯のアップ)【歯科素材.com】歯医者さん向け無料イラスト

 マイクロエンドでは、「ラバーダム」という装置を使って治療を行います。唾液の中には細菌が多く存在します。そのため、治療中に唾液が根管に入ってしまうといくら奇麗にしようとしても、また中を汚してしまうことになります。ラバーダムをすることで、治療する部位の無菌化を図ることができ、より成功率を高めることができます。

⑦根っこの状態を画像で確認できる

 マイクロスコープには、ビデオ・写真機能がついています。今どのような状態か画像を撮影し、患者様にお見せしながらしっかりとご説明しています。

~ウィークポイント~

・保険で行う根管治療よりも費用がかかる

 保険外治療のため、保険治療よりも費用がかかります。治療期間や費用は、歯の状態を確認させていただいてから、ご説明いたします。

・長時間お口を開けていないと難しい

 ラバーダムを付けての治療では、歯を開けるのを補助する器具や唾液を吸う器具を付けて治療を行います。治療の間はお鼻で息をして、お口を開けていなければいけません。

「根管治療に長く通っているが、なかなか痛みがひかない」

「神経をとったが、何度も再治療している」

「抜歯と診断された歯を残せるか診てほしい」

などお悩みの方がいらっしゃいましたらご相談ください。